妊活を意識し始めると「葉酸を摂った方が良いらしい」という話を耳にすることも多くなると思います。
筆者自身も、妊活スタート時に友人から「妊娠を予定しているなら、もう今のうちから葉酸摂り始めた方が良いよ」とすすめられました。
でも、なぜ妊活スタート時から葉酸を摂った方が良いのでしょうか?
今回は「妊活スタート時から葉酸を摂った方が良い理由と注意点」について詳しく解説していきます。
目次
妊活スタート時から葉酸を摂った方が良い理由と注意点
そもそも葉酸とは?
葉酸は水溶性のビタミンB群の1つ。
ホウレンソウなど、緑の葉に多く含まれる栄養素であるため、この名前が付いたそうです。
ホウレンソウの他にもブロッコリー、枝豆、モロヘイヤ、芽キャベツ、アボカド、大豆、さつまいもや、レバーなどにも葉酸が多く含まれています。
葉酸は赤血球の形成を手助けしたり、たんぱく質や細胞を作る際に必要なDNAやRNAなどの核酸を合成したりする役割があるため、体の発育にもとても大切なビタミンです。
妊娠する前から十分な量の葉酸を摂ることで、赤ちゃんの先天異常である神経管閉鎖障害の発症リスクを下げる効果があるということが明らかになっています。
妊娠初期に葉酸が不足していると、赤ちゃんの先天異常のリスクが高まる
妊活スタート時から葉酸を摂った方が良い理由の1つとして、妊娠初期に葉酸が不足していると、生まれてくる赤ちゃんの先天異常のリスクが高くなってしまうという理由があります。
赤ちゃんの脳や心臓、神経管(脊椎の元になるもの)など、生きるためにとても重要な部分は、妊娠のかなり初期段階(受精後28日から6週頃まで)に作られます。
その重要な部分が作られるタイミングでたくさんの葉酸を必要とするのですが、母である女性の体内に葉酸が不足していると、神経管閉鎖障害などの先天異常が発生するリスクが高くなると言われているのです。
神経管閉鎖障害の主なものとして、脊椎に癒着不全が生じる「二分脊椎」というものが挙げられます。
二分脊椎にかかってしまうと、生後24時間以内に背中の手術治療が必要となるほか、歩行障害や排せつ障害の治療など、生涯にわたってリハビリが必要になることもあります。
だからこそ、妊娠を予定している場合は十分な葉酸を摂取しておくことが大切なのです。
葉酸を摂るタイミングは?妊娠に気づいてからでは遅いことも
赤ちゃんの先天異常のリスクを下げるために葉酸を摂ることが大切ということがわかりましたね。
また、葉酸を摂り始めるタイミングとしては「妊活スタート時」ということがポイントです。
なぜかというと、妊娠に気づいてから葉酸を摂取したのでは遅い場合があるからです。
妊娠初期(受精後、28日から6週頃まで)に十分な葉酸が必要とはいえ、女性自身が妊娠に気づくのは早くて6週目頃。
一般的には7~8週目を過ぎてから妊娠に気づくことが多いとされているため、そのタイミングではもう赤ちゃんの神経管などの形成が完了している可能性が高いのです。
そのため厚生労働省は、妊娠を計画している女性に「妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの間、葉酸をはじめ、その他のビタミンなどを多く含む栄養バランスのとれた食事が必要」と葉酸の摂取を推進しています。
妊娠するかどうかはまだわからなくても、妊娠を計画し始めたタイミングで葉酸の摂取をしっかりと行っていきましょう。
妊娠前後に必要な葉酸の量
それでは、妊娠前後にはどのぐらいの量の葉酸を摂取すればいいのかを具体的に説明していきましょう。
通常の食事から摂取できている葉酸の量は約240μg と言われていますが、厚生労働省は、妊娠を計画している女性や妊娠中の女性は通常の食事からの葉酸摂取にプラスして、栄養補助食品で1日400μg の葉酸を摂取することを推奨しています。
ちなみに、通常の食事から摂取する葉酸と、栄養補助食品から摂取する葉酸では、吸収率が異なるということはご存じですか?
実は、それぞれ葉酸の種類が違うのです。
まず、通常の食事から摂取できる葉酸は「食事性葉酸」「ポリグルタミン酸型葉酸」と呼ばれるもので、体内への吸収率は摂取した量の約半分程度となります。
一方、栄養補助食品から摂取できる葉酸は「モノグルタミン酸型」と呼ばれるもので、体内への吸収率は摂取した量の約85%と言われています。
そのため、栄養補助食品、サプリなどを併用して、効率よく必要な量の葉酸を摂取することが肝心です。
最近では、ネットやドラッグストアなど様々な場所で葉酸サプリを購入することができるため、不足している分を手軽に補うことができます。
妊活中・妊娠中の女性は葉酸の必要量が通常の2倍近くになることから、知らず知らずのうちに不足しているということが起こってしまいがち。
「あの時ちゃんと葉酸を摂っておけばよかった」と後悔することがないよう、今からしっかり対策していきましょうね。
葉酸の1日の摂取量が1mg(1,000μg)を超えないように注意
ここまで、妊娠前後での葉酸摂取が大切だということをお伝えしてきましたが、葉酸はたくさん摂れば摂るほど良いのでしょうか?
答えは「ノー」です。
葉酸の耐用上限量は1日に1mg(1,000μg)と規定されており、それ以上に葉酸を摂りすぎてしまった場合、自分自身が発熱やじんましんを起こす可能性や、生まれてきた赤ちゃんが喘息になってしまう可能性があるかもしれないと言われています。
ただ、通常の1日分の食事から摂取できる葉酸の量が280μg ということを考えると、食事からの摂取だけで耐用上限量を超えるということはほぼありません。
注意した方が良いのは栄養補助食品、サプリなどの過剰摂取です。
葉酸サプリは粒が小さく飲みやすいことも多ので、簡単に摂取できてしまいますが「たくさん摂れば摂るほど良いというわけではない」ので、故意に過剰摂取しないよう気を付けましょう。
「妊活スタート時から葉酸を摂った方がいい理由と注意点」まとめ
妊活をスタートした時から葉酸を摂り始めた方が良い理由と、その際の注意点について見てきました。
ポイントをもう一度まとめると
- 妊娠前後に葉酸が不足していると、赤ちゃんの先天異常の発症リスクが高まる
- 妊娠の1カ月以上前から、通常の食事にプラスして1日400μg の葉酸をサプリで摂取する
- 葉酸の耐用上限量は1mg(1,000μg)なので、故意に過剰摂取しないように注意する
これから妊娠を予定している人は、早いうちからしっかりと葉酸を摂取し、いつでも赤ちゃんを迎えられる体づくりをしていきましょう。