女の子があこがれる職業ナンバー1、パティシエ。
華やかに見えるパティシエの仕事ですが、実はそれを支えるのは地道な努力の積み重ね。そんなパティシエの世界に身を投じ、悩みながら成長していく津村希(まれ)の姿を描いたのが本作『まれ』です。
オープニングテーマは、合唱曲「希空〜まれぞら〜」。1番の歌詞は、主演の土屋太鳳によるもの、そして2番の歌詞は一般公募から選ばれました。
目次
世界に羽ばたくパティシエを夢見るヒロインを演じるのは、土屋太鳳
『おひさま』、『花子とアン』、そして『まれ』と朝ドラ出演は3作目の土屋太鳳が真面目で一本気な希を演じました。
土屋太鳳は、2005年、角川映画、ソニーミュージック、Yahoo! JAPANの3社が合同で開催したスーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックスにて、審査員特別賞を最年少で受賞。
2008年、映画『トウキョウソナタ』への出演をきっかけに、女優としての人生を歩み始め、以後、映画・テレビへと出演の幅を広げていきます。2010年には、NHK大河ドラマ『龍馬伝』に出演。
2014年、朝ドラ『花子とアン』出演中に、本作のヒロインオーディションに参加、2,020人の中からヒロイン役に選ばれました。
2018年には、第41回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞しています。
朝ドラ『まれ』の主要キャスト
本作の構成は、大きく分けて3部。
パティシエの夢をかなえるため、能登から横浜に修行に出た希が、再び能登に戻ってきて奮闘する姿を描いています。
キャスト
(能登編〜第1部)
夢を追い続ける父・津村徹(大泉洋)と母・藍子(常盤貴子)のもとに生まれた希と弟・一徹(葉山奨之)。
夜逃げ同然で能登にやって来た一家を居候させたのが、塩田農家の桶作元治(田中泯)と文(田中裕子)夫婦でした。
津村家と桶作家は長い年月をかけ、家族同様の絆で結ばれていきます。
そして、希の幼なじみも、希を支える頼れる存在。
のちに夫となる紺谷圭太(山﨑賢人)、蔵本一子(清水富美加)、のちに一徹の妻となる寺岡みのり(門脇麦)らは時にぶつかりながらも、希に寄り添ってくれます。
そして、心にしまい込んでいた「パティシエになる」という夢を引き出してくれたのが祖母・ロベール幸枝(草笛光子)。
希の人生の転機に現れる、心強い存在です。
キャスト
(横浜編)
希が修行する「マ・シェリ・シュ・シュ」のオーナーパティシエ、池畑大悟(小日向文世)は、希のパティシエとしての成長に欠かせない存在です。
そして、大悟の長男・大輔(柳楽優弥)は希に一目ぼれし、交際までこぎつけたものの、希が圭太を忘れられず、破局。
以後、友人として希を支えていきます。
キャスト
(能登編〜第2部)
能登に戻った希は、女将修行のかたわら、自分の店「プチ・ソルシエール」を開きます。
そこに働きにやって来るのが沢沙耶(飯豊まりえ)。
彼女の影響で、希は再び自分の夢を取り戻していきます。
再び世界を目指し始めた希が挑んだコンクールの審査員をつとめたのは、かつての先輩・矢野陶子(柊子)。
陶子の酷評に奮起し、希は再び、世界一のパティシエを目指すべく気持ちを新たにするのでした。
朝ドラ『まれ』のあらすじ
あらすじ
(能登編〜第1部)
1994年、父・徹の事業の失敗により、夜逃げ同然で東京から能登へやってきた津村家。
能登で出会った塩田農家の桶作元治、妻・文の地道な塩業に感動した希。
一家は能登で生きていく決意を固めたはずでしたが、再び徹は失踪。
希、母・藍子、弟・一徹の3人は桶作家に居候し、7年が経ちます。
2001年、高校3年生になった希。
東京で夢破れた徹が能登に帰ってきますが、希は父によい感情を持つことはできません。
そんなある日、同級生・紺谷圭太の一言をきっかけに、希はケーキコンテストに参加したのですが、散々な結果に終わります。
心の奥底にあったパティシエへの想いを封印し、希は輪島市役所への就職を決めるのでした。
2002年、希は輪島市役所で忙しい日々を送っていましたが、ひょんなことから、祖母・ロベール幸枝に出会い、ケーキ作りを教わることになります。
幸枝は、希のパティシエへのあこがれに気づき、希に夢を追うように強くすすめます。
幸枝の夢を追う姿にずっと反発してきた母・藍子でしたが、幸枝の藍子への想いに触れ、和解。
藍子にも背中を押された希は、ついに「世界一のパティシエになる」という夢に向かって走り出すのでした。
あらすじ
(横浜編)
役所を退職した希は、横浜へ。
パティシエへのあこがれを持つきっかけとなったバースデーケーキの味を求め、横浜中のケーキを食べ歩きます。
ついに「この味だ!」とたどり着いた先は、かつてのケーキコンテストで希のケーキを酷評した池畑大悟の店「マ・シェリ・シュ・シュ」でした。
いったん弟子入りは断られてしまいますが、店に欠員が出たため、希にもチャンスが巡ってきます。
しかし、希が自らのケーキレシピを先輩社員にゆずったことを大悟に知られ、希は解雇されてしまいます。
失意の中、能登に戻った希でしたが、初心を思い出し、再び横浜へ。大悟に弟子入りを懇願します。
倒産寸前の店の再起をかけ、大悟はテレビ出演することになりましたが、希によって覚悟を決められたこと、そして、希がメレンゲ作りの技術を習得したこともあり、希の弟子入りを許します。
同じころ、大悟の長男・大輔に一目ぼれされた希。
さりげない優しさで希を支える大輔に心惹かれたものの、成人式で再会した圭太に恋心が再燃。
大輔に別れを告げ、圭太と結婚を前提に付き合うことになります。
輪島塗の職人を目指す圭太と一流のパティシエを目指す希は、お互いに一人前になるまで会わないという約束のもと、修行を続けますが、2006年に晴れて結婚。
お互いの仕事を優先させるため、遠距離結婚という道を選びます。
2007年、スーシェフに昇格した希は、大悟からフランス留学を打診されますが、同じころ、圭太が過労で倒れてしまいます。
圭太が希には何も言わず、苦労を重ねていたことを知り、希は、能登へ帰ることを決めるのでした。
あらすじ
(能登編〜第2部)
能登へ帰った希は、圭太を支えるため、紺谷漆器の女将修行に励みます。
再び東京での事業に失敗した徹もまた能登に戻ってきますが、希の意志に反して、希のケーキショップを開業させようと奔走。
しかし、元部下たちから脅迫を受け、徹は再び失踪してしまいます。
徹からの手紙と企画書を読んだ希は、徹の想いに応えるべく、ケーキショップ「プチ・ソルシエール」を開店させます。
店の経営がなかなか軌道にはのらない中、希は妊娠し、店は休業することになります。
そして、2008年8月10日、希は双子を出産。
周囲の協力を得て、11月に店を再開させた希でしたが、お店を訪れた旅行客のブログをきっかけに、店は少しずつ売り上げを伸ばしていくのでした。
2015年、希たちは一家で桶作家に引っ越します。
ちょうどそのころ、雇い入れたパティシエ志望のアルバイト店員・沢沙耶に触発され、希は「世界一のパティシエになる」という自身の夢を思い出すことに。
しかし、手始めに出品したコンクールで、希のケーキは落選してしまいます。
審査員をつとめたかつての先輩、矢野陶子からの酷評をバネに、希は次のコンクールのため、新しいケーキを完成させますが、子供たちの行事に参加することを優先し、コンクールは辞退。
沙耶が会場に持ち込んだ希の未完成のケーキは、失格になりはしたものの、最高得点を獲得します。
陶子から希の様子を聞いた大悟が能登を訪れ、希を「世界パティシエコンクール」にエントリーさせます。大悟もまたそのコンクールに参戦。
希は5位。優勝は、もちろん大悟でしたが、大悟は、希の健闘を称えます。
能登に戻ったものの結婚式を挙げていなかった希と圭太は、ひょんなことから結婚式を挙げることになります。
結婚式の準備が進む中、徹が8年ぶりに能登へ帰還。
一家は再び、家族の絆を取り戻すのでした。
そして迎えた結婚式当日。
二人は、見守ってきてくれたまわりの人々に感謝の気持ちを伝え、これからも大きな夢に向かって歩んでいくと誓うのです…。
朝ドラ『まれ』の見どころ
夢は簡単にはかなわない……それでも人生は続いていく
希は、「世界のパティシエになる」という夢を持って、横浜に出ていきます。
順風満帆に夢をかなえていくかに見えた希ですが、そう簡単にはいきません。
パティシエなら誰もがあこがれるフランス留学を断念し、故郷に戻ったのは、結婚相手である圭太を支えたいと思ったから。
夢は、簡単にはかなわないもの。それでも人生は続いていきます。
遠回りしてもいい、夢の形を変えてもいい、夢を持ち続けることの大切さを『まれ』は教えてくれます。
希を取り巻く人々〜それぞれの人生を描く群像劇〜
登場人物たち、それぞれの人生をていねいに描いているのもこのドラマの魅力です。
夢を見続け、敗れてばかりの人。夢をあきらめず、家族と離れてまでも意志を貫き通そうとする人。家業を継ぐのが当たり前と思う人。家業を嫌って、別の人生を歩むと心を決めている人…。
さまざまな人生のありかたを、そして人生の選択を、ていねいに描いていきます。
人と人との絆
夜逃げ同然で能登にやってきた希たちを受け入れたのは、塩田農家の桶作夫婦。血のつながりはないものの、希たちと家族同然に生きていくことになりました。
遠く離れたフランスの地で娘・藍子、そして孫・希を優しく見守る祖母・ロベール幸枝。幸恵の弟子である大悟は、希を導き、常に希に刺激を与え続けます。
同級生たちは、大人になってからもお互いに支え合い、よき友人関係であり続けます。
家族、友達、師弟関係……人と人との絆をしっかりと描いているのもこのドラマの見どころでしょう。
朝ドラ『まれ』その魅力とは
夢を持つことに否定的だった希が、パティシエという夢を持ち、大きく成長していきます。
しかし、夢は、その通りにすべてかなうとは限りません。
希の「世界一のパティシエになる」という夢も、さまざまな人生の岐路で選択していく答えによって、時に大きく遠ざかります。
それでも、夢に向かって一歩ずつ歩んでいく希。
きっと、今も、希はこの世界のどこかで夢に向かってがんばっている…
『まれ』は、そんなふうに感じさせる物語です。
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