このページでは『チョコレート戦争 ~朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり~』第12話(2020年3月27日放送)のあらすじ(ネタバレ注意)や感想について紹介。
「チョコレート戦争 ~朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり~」は、2020年1月11日スタートのtvk(TV神奈川)放送のドラマです。
~朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり~
芸能クラスを備え、毎年バレンタインデーが重要イベントの私立百瀬学園。
バレンタインデーに一番多くのチョコレートをもらった男子生徒は“キング”と呼ばれ、先の芸能活動も保証されるのだが、今年の2月14日、事件は起こった。“キング”確定と噂されていた篠田康太が誰かからの毒入りチョコレートが原因で死亡したのだ。
篠田のクラスの副担任・仁科智也は、篠田が所属していた学園内アイドルユニット“Dust Kiss”のメンバー、吉川優、村木乃亜、宮田健介、小暮海斗(TAKA)に話を聞いて行くが……。
果たして誰が、毒入りチョコレートを渡したのか。そして物語は仁科の隠された過去へと遡ることになる…。
【キャスト】仁科智也(小澤廉)/松井俊二(小林且弥)/篠田康太(立石俊樹)/吉川優(小南光司)/村木乃亜(古谷大和)/宮田健介(星元裕月)など
『チョコレート戦争』最終回 あらすじ
カモメの鳴く声がして、空は青く晴れている。
ダスキスのメンバーと、同じく女子部のメンバーは、港に集まっていた。
生徒たちのなかで、口火を切ったのは吉川優(小南光司)だ。
「なぁ、ちゃんと言った?」
「言ったよ」
村木乃亜(古谷大和)が答える。
「村木さん、ダスキスどうすんの?」
心配そうに尋ねたのは宮田健介(星元裕月)だ。
「俺はもう卒業だけど……やりたい、かな」
「僕もやる!」
「同じく!」
みやと小暮海斗(TAKA/CUBERS)が嬉しそうに言った。
吉川は、顧問が同じならやると言う。
「そりゃやっぱり……にっしー、遅い……まっつん?!」
生徒たちが待っていたのは、仁科(小澤廉)だったが、あらわれたのは担任の松井(小林俊二)と女教師たちだった。
驚く生徒たちをもっと驚かせたのは、彼らの謝罪の言葉だった。
仁科の報告書を読み、自分たちがどれほど生徒に向き合えていなかったのかを悟ったという。
「で、にっしーは?」
松井はそれには答えず、仁科の報告書を読み始めた。
『篠田康太(立石俊樹)の死に、ダスキスのメンバーもプリティインピンクの女生徒たちは動揺し、彼がダスキスを抜けたことにそれぞれ憤っています。
篠田康太が死んだ理由には、まず私の存在があります。
若いころ、私には夢がありましたが、アイドルになることに夢中になりました。
しかし夢は破れ、大学に戻って教師になった私は、夢見ること、何かに夢中になることを恐れていました。
そして転校してきた篠田康太に出会いました。
彼は学園の人気者になり、ダスキスのメンバーとなってデビューが決まったとたん、グループを辞めました。
私は彼の気持ちを聞こうとしました。
篠田康太は、ソロデビューを断り、ダスキスを辞め、仁科の夢をつぶしたポップライフに復讐したのだと言いました。
また、ダスキスもメンバーも好きだから、辞めたのだと。
私はこのとき、篠田康太の本当の気持ちがわかりませんでした……。
私はみんなの話を聞いて、ずっとずっと篠田康太のことを考えていました。
彼は傷ついていた。
その原因は、両親の離婚だと思います。
そんな事情があるのは、彼だけではないけれど、彼は傷つき、悲しみを抱えていたのでしょう。
彼は反抗した。すべての大人に。
彼は、みんなとアイドルグループをやるのが本当に楽しかったはずだ。
でも、その感情はやがて恐怖に変わっていった。
「大好きで、大切だから、そのときのまま残しておきたかった。どうせ変わってしまうんです。永遠なんてない。誰かのせいで、時間のせいで。もう、変わっていくのを見たくなかった……」
篠田康太はロマンチックすぎる。青すぎる。
でも、だからなんなんだ。
彼はまだ子どもだ。君たちだってそうだ。
私たちだって、そうかもしれない。
だが、どうして篠田康太が亡くなったのかはわからない。
篠田康太は確かにいた。
そして、これからもいる』
仁科の報告書を聞いて、生徒たちは篠田康太のことを思い返していた。
「仁科先生は辞めるそうだ」
「仁科先生はどこに?」
「わからない」
仁科は、バックパックを背負って歩いていく。
彼がどこに向かっているのかは、わからない。
長谷川(杉山真宏/JBアナザーズ)は決死の想いで、あの毒薬を口にしてみた。
「……甘い?!」
「信じたの?それ砂糖だよ」
妹の言葉に、驚く長谷川。
では、篠田康太はなぜ死んだのか?
二ヶ月後、百瀬学園に新任教師が着任する。
彼は、松井の受け持つスタークラスの副担任になるのだ。
「久保南碕(植田佳輔)です」
にっこり笑った笑顔の先に、今日付けで転校してきた篠田康太が微笑んでいる。
『チョコレート戦争』最終回 ネタバレ感想
こ、このラストは……賛否両論ありそうな終わり方でしたね!
なんとも不思議で、でもとても余韻のあるラストシーンで、とてもよかったです!
やっぱりあの毒薬は偽物だったんですね~。
そしてそのために、ますます深まる謎……。
篠田康太はなぜ死んだのか?
結局、「だれが、どうやって篠田康太を殺したのか?」という推理ものに不可欠な謎解きは、まったく存在しない物語でした。
このドラマの最大の謎は、篠田康太の気持ち。
にっしーや、まっつんのような大人たち、そして篠田くんを自分の物差しに当てはめて、何かを期待していた友人たちと一緒に、視聴者も篠田くんの気持ちに寄り添っていく物語だったのではないでしょうか。
犯人だとか、方法だとか、そういうのはどうでもよくて、(だってそんなことがわかっても篠田くんは生き返らないから)ただ生きていたころの篠田くんの気持ちを知ることが、大事なミッションだったのでは?
最後に、それぞれの心のなかで反すうされた篠田くんとの想い出が、とても重要なものだったのだと思いますね。
そうはいっても、なんかモヤモヤする!という人もいるでしょうけど……。
二ヶ月後、久保南碕さんが先生として赴任してきて、同時に篠田康太が転校してきて、というところに、作品のメッセージが込められているんじゃないでしょうか。
過去の事件で、にっしー同様に傷ついたであろう久保南碕が、業界を離れて教師として再出発してきた……。
そしてそこには死んだはずの篠田康太がいる……。
でも「篠田康太です」って言わないじゃないですか。
彼は、篠田康太じゃないんですよね。
篠田康太的な、誰か。
視聴者は、にっしーと篠田くんの物語をずっと追いかけてきたわけですけれども、これは久保っち(なんかそんなあだ名で呼ばれそう)とほかの誰かの物語だったのかもしれない。
この物語は、特別な誰かと誰かのおはなしではなくて、もしかしたらどこにでも転がっているおはなしなのかもしれない。
もしかしたら、それは、あなたと誰かのおはなしなのかもしれませんよ……ということなのではないでしょうか~。
他人の心のなかを本当に知ることって、誰にもできないですよね。
そして、相手の本当の姿というのも、誰にもわからないですよね。
本当の姿はけしてひとつではないから。
人との関わりの数だけ、その人のイメージがあって、想い出があって、そういうものの集合体がひとりの人間で、だからもしかしたら、私たちが「人」と思って見ているものは、誰かの記憶や想い出やエピソードの塊にすぎないのかも……。
最後に登場する篠田?くんの笑顔がさわやかすぎて、「篠田くんって妖精なんじゃない?傷ついた誰かの心を癒しては消えていく幻なんでしょ……」という気持ちになりました。
くぼっちのトラウマを浄化したら、また死んじゃうんじゃないかなー。
「二ヶ月後」ってしないほうが、そういう不思議な感じがもっと深まったような気がしますが、やはり「二ヶ月後」が重要なのかな?
ドラマは終わりましたが、まだまだ深く考えてみたい、と思わせるラストでした!
にっしーは、最初の夢をかなえて、小説家になるといいんじゃないかな。
ダスキスは解散かな……。
ソロデビューの話聞いちゃったら、みんな正気に戻りそう。現実はそんなに甘くないって。
まっつんは少しはましな先生になってくれるでしょう。
みんな、元気でね。全12話楽しかったよ、ありがとう!
とりあえずチョコレートを食べながら、ゆっくり余韻に浸りたいと思います……。
(了)
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