このページでは『悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~』第3話(2019年12月21日放送)のあらすじ(ネタバレ注意)や感想について紹介。
「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~」は、2019年12月7日スタートのフジテレビ系のドラマです。
~贖罪の奏鳴曲~
悪徳、法外な報酬、絶対勝訴。どんな依頼人でも必ず勝たせる悪魔の弁護士・御子柴礼司(要潤)には、凶悪犯罪を犯した元少年Aという衝撃の過去が!逆転に次ぐ逆転、戦慄の法廷ミステリーが開幕する!
【キャスト】御子柴礼司(要潤)/日下部洋子(ベッキー)/桜葉あすみ(玄理)/宝来兼人(本村健太郎)/横山紗矢(田中こなつ)/津田亜季子(奥菜恵)/稲見武雄(勝野洋)/岬恭平(津田寛治)
『悪魔の弁護人・御子柴礼司〜贖罪の奏鳴曲〜』第3話のあらすじ
腹部から血を流し、倒れている御子柴礼司(要潤)は、少年時代の自分を思い出していた。
「人を殺したことを悔いています」
「俺の前で見え透いた嘘をつくな!」
指導教官の稲見武雄(勝野洋)は、冷酷だった。
意識を失って10日後、御子柴は病院のベッドで目をさまし、稲見武雄が殺人の容疑で逮捕されたことを知った。
御子柴はまだ傷が癒えないなか、病院を抜け出して稲見に会いに行く。
しかし、稲見は接見を拒否。
御子柴はやくざに依頼し、宝来を脅して稲見の担当弁護士におさまった。
「久しぶりに会ったのに、昔話はなしか」
「あの頃に、懐かしむような思い出などない」
「お前らしいな」
担当教官との何十年ぶりかの邂逅は、あっさりしたものだった。
稲見の容疑は、老人ホーム伯楽園の介護士・栃野守を花瓶で殴って殺害したというもの。
食事を残した稲見をなじる栃野と口論になり、日頃の不満が爆発。
ひっくり返した膳を片づけようと床にかがみこんだ栃野の頭に花瓶を降りおろし、動かなくなった栃野を見ているところに別の介護士・前原譲がやってきて、事件が発覚した。
事実関係を認める稲見は、終始落ち着いた態度でいる。
「教官、よく落ち着いていられるな。負ければ一生刑務所の中だぞ」
稲見は、それでかまわないという。
栃野が憎くて殺したのだし、精神状態だってまともだった。
その事実は誰も覆せない。
しかも、現場を多くの人が目撃している。
裁判で有利になろうとは思わない。
「どんな被疑者にも、守られる権利がある!」
「だが、どんな人間にも償う権利がある。俺がお前にそう教えた。教えたからにはきちんと罰を受け入れる」
稲見は、御子柴が非合法な手段で担当を変わっただろうと指摘した。
「誰か呼びたい弁護人はいるかと尋ねられたとき、お前の顔が浮かばなかったと思うか?」
「ではどうして俺にしなかった。頼むのが怖かったか?」
稲見はすこし微笑むと、無言で接見を終わらせた。
新聞記者の稲葉あすみ(玄理)は、御子柴を許すことができず、独自に取材を行なっている。
そして、御子柴が医療少年院時代に、脱走事件にかかわっていたことを突き止めた。
脱走事件を阻止したのが稲見だというのだが……。
御子柴は伯楽園に出向き、入居者や発見者の証言を集めていく。
ただ、目撃者の証言がすこしずつ食い違う。
ここには、なにか秘密がある。
まず、介護士による虐待は明らかだった。
写真を撮った御子柴は、介護士の前原に脅されるが、体を呈して証拠を守った。
洋子は傷口が開き、苦痛にあえぐ御子柴を治療してやる。
冷たい世間とは違い、献身的に尽くしてくれる洋子に、御子柴はふと本音を漏らした。
「この裁判は絶対に勝たなくてはならない。あの人は、私を人間にしてくれた。私を救ってくれたんだ。今度は私があの人を救うんだ。じゃないと、弁護士になった意味がない」
洋子は、御子柴の過去を探るために、稲見の元妻だという女性に会いに行った。
そこで洋子は、稲見と御子柴の過去の因縁を知る。
脱走を止めようとした稲見を御子柴が刺したせいで、稲見は下半身不随となったのだそうだ。
だが、稲見は御子柴をかばった。
担当教官と収容者は親子だ。親が子を罰することなどできない、と。
元妻は、憤りを隠さない。
「あそこは罰を与える場所じゃないそうね。でも、罰を受けずに更生する人間がいるかしら?」
そのころ、稲見の裁判は始まっていた。
「被告の無罪を主張します」
御子柴の主張に、法廷はどよめく。
ところが、それを押さえつけるかのように稲見が発言した。
「私は明確な殺意を持って栃野守を殺害しました。私に正当な罰を与えてください。」
「やめろ……やめろ!」
稲見は、しっかりと御子柴を見てから、もう一度訴えた。
「罪を犯した以上、罰を受けるのは当然です。私に罰を与えてください」
『悪魔の弁護人・御子柴礼司〜贖罪の奏鳴曲〜』第3話の感想
第3話にして、御子柴の過去が明らかになってきました。
しかし、そのきっかけが医療少年院時代の担当教官の殺人事件だったとは……。
なかなかに皮肉な展開。
いまの御子柴先生を見ていると、殺人を犯した人とはとても思えません。
しかも、いじめの加害者を殺したとか、虐待していた親を殺したとか、正当防衛が認められるような案件ならいざ知らず、5歳の少女を殺害するなんて……。
なにか事情があったはず、と信じたいけれど、14歳が5歳を殺すなんてどんな事情があったんだよ!と叫びたくなります。
過去の罪は、やはり罪でしかないのでしょう。
どんな動機があれ、許されない状況ですよね。
視聴者につきつけられるのは、このジレンマです。
現在の御子柴礼司がどんなに善行を積んだとしても、彼は無垢な少女を殺した殺人者。
そんな人間を許すことができるのか?
しかも、彼は少年法に守られて、罰を受けてもいないのです。
彼の内心は、誰もうかがい知ることはできません。
彼がどれだけ罪の意識に苦しめられようと、それを見ることはできないし、証明する手立てはないのです。
ドラマのなかには、私たちの揺れ動く心理を代弁する人々が登場しています。
人殺しが弁護士になることを許せない、あすみや岬恭平(津田寛治)のような人物。
罰を受けていない人間が許せない、稲見の元妻のような人物。
現在の御子柴を見て、罪を許したいと思う洋子のような人物。
そして、ただ目の前にいる御子柴を慕う幼い倫子。
ただ、彼らも迷っています。(倫子以外は)
御子柴が見せる多様な顔が、彼を悪と断定することも善と認めることも簡単には許さないからです。
私たち視聴者も同じように翻弄されながらドラマを観ている感じですね。
深く深く、考えさせられるドラマです。
罰を受けても、悔い改めない人だっていますよね。
罰がすべてではないと思います。
でも、自分が被害者の遺族だったら?
同じような目にあわせてやりたいと思うのは当然ですよね。
心から罪を犯したことを後悔してほしいと思いますよね。
やはり複雑です……。
御子柴先生は、稲見教官と過ごすことで人間になれたと言いました。
めずらしく彼の本音を聞くことができて、びっくりです。
肉体的に弱っていると、精神的にも弱くなるものなのかもしれませんね。
「罪を犯したものは、二度と許されないの?」
なんだかこのセリフをベッキーが言うのは深い…。
当事者ではないので、許す許さないなどといえる立場ではありませんが、彼女もまた贖罪の日々を送ったのだと思います。
「なにをすれば、先生は許されるの?」
これもまた深い……。
罪を犯したものが不幸にのたうちまわって、幸せになれずにいれば、みんな許してくれるのでしょうか?
みんな、ただ忘れていくだけではないの?
許すといえるのは、本当の意味で被害者だけですよね。
さて、殺人の容疑者である稲見教官は、本当に人を殺したのでしょうか?
目撃者であるホームの老人たちが、みんなで口裏をあわせているのは確実です。
はじめは、介護士の前原さんがいい人で、争って栃野を殺してしまい、みんなでかばうことにしたのかな?と思ったんですよね。
でも、あの人も暴力介護士だし、そうでもなさそう。
虐待を受けていた認知症の人は、歩行が不自由で殺害は無理そうだし……。
暴力介護士をみんなで殺そう、ということになって、稲見さんが罪を引き受けたのかな?
でも車いすの下半身不随の老人が、花瓶を持ち上げて人を殴って殺せますかね?
そこまでの力がある?
老人全員で力をあわせて殴り殺した、というのが一番ありそうですよね。
じゃ、次は前原さんが殺されちゃうのかな?
もちろん、世の中には殺されていい人などいませんが、老人を虐待する人はひどいと思います。
でも、介護の現場は本当に大変で、介護士が精神を病むこともあり……。
現実の事件にも、誰が悪いのか決めかねるような複雑な想いが沸き起こる案件がありますね。
日常生活ではあまり深く考えることのないテーマについて、しみじみ考える土曜の深夜です。
次回、御子柴先生が痛みで倒れないように祈っています。
開いた傷口は、縫い直さないと危ないですよ、先生。
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