木造の一戸建ては日本の気候に合った住まいで、木に囲まれた生活は気持ちを癒してくれますよね。
でも、一つ心配なのは「シロアリ」
シロアリは、家の土台から密かに食い散らかし、気がついたときには家の構造に大きな被害を与えることも。
ということで、今回は「シロアリがいるサインと駆除の方法」についてまとめてみます。
まずは、日本にいる代表的なシロアリの種類から見てみることにしましょう。
目次
シロアリの種類
シロアリと言うと家を食い荒らすというイメージはあるもののどれだけの種類があるかまでは知らない人が多いかもしれません。
一口にシロアリと言っても、世界中にはたくさんの種類があり、2000種以上と言われています。
日本には13種のシロアリが存在しますが、一番多く見かけるのは「ヤマトシロアリ」という種類です。
ヤマトシロアリ
日本のかなり広範囲に分布している「ヤマトシロアリ」は寒さに強く、気温が6度以上あれば活動し続けます。
巣内の個体は2万〜3万匹いると言われていて、枯れ木の中の穴が連続している網目状になっている場所に生息し、その周辺を食べながら巣を広げるのが特徴です。
ヤマトシロアリは乾燥に弱いので、家の中の水回り近くにいることが多いシロアリです。
このため、水回りで湿度が高い場所の柱や壁などが食い荒らされやすいとされています。
ヤマトシロアリが侵入する場合は、地下からなので土台や基礎の下も被害に遭うことがあります。
ただし、被害のスピードはそれほど早いわけではありません。
イエシロアリ
被害のスピードが早く世界的にも被害が多いのは「イエシロアリ」です。
イエシロアリは寒さには弱いシロアリですが、気温が10度以上の場所であれば活動を続けられます。
イエシロアリは、日本では太平洋側の温暖な地域に生息していることが多く、建物の地下や土の中などに土や木屑を固めて大きな巣を作ります。
巣内の個体数はとても多く100万匹いると言われています。
イエシロアリは、乾燥に弱いものの自ら水を運ぶことができるために、湿度が高くなく乾燥した場所でも生息できます。
食べ進むスピードがとても早く、被害が大きいのがイエシロアリの特徴です。
ヤマトシロアリとイエシロアリの違い
種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |||
---|---|---|---|---|---|
加害状況 | 湿った木材を好む | 乾燥材も食べる | |||
羽アリ | 体長 | 5~7mm/淡褐色 | 7~8mm/淡褐色 | ||
飛び立つ時期 | 4~6月 | 6~7月 | |||
飛び立つ時刻 | 雨後の暑い昼間 | 夕方から夜間 | |||
兵隊アリ | 体長 | 3~6mm | 4~6mm | ||
頭の形 | 楕円型 | 卵型 | |||
特徴 | 粘液は出さない | 白色の粘液を出す |
乾燥している場所であればシロアリの被害にあわないと安心している人も多いですが、イエシロアリならば乾燥しているところでも生息できますので油断はできません。
家中のどこが被害に遭ってもおかしくはありませんので、異変を感じたらすぐに駆除が必要です。
シロアリの怖さ
築年数が古い住宅に住んでいる場合は、シロアリについて注意しておかなければならないことはよく知られていますが、その一方で、生態はおろか姿さえ見たことがないという人も多いと思います。
実は、シロアリは “アリ” という名称が付いているものの一般的な “アリ” の仲間ではなく、ゴキブリの仲間です。
そのため “アリ” が見向きもしない物でも手あたり次第食べてしまいます。
シロアリについては、空き家や築年数が著しく古い家のように、木材が湿気て腐りかけている住宅で注意が必要と考えている人が多いですが、例えば、イエシロアリなどであれば、たとえ乾燥状態の木であっても見境なく食べ尽くします。
シロアリが侵入する場合は、家の土台や柱の下部を食い荒らしつつ内部に向かって進んでいきます。
その結果、家の土台や柱など住宅を維持するための要になる箇所から食べられることで住宅は本来の強度を失い、台風や地震の揺れによる住宅倒壊の危険性が高まります。
また、木材だけでなく、畳や新聞紙、布地のような植物由来の物はもちろん、コンクリートや電線といった通常であれば考えられない物まで食べようとするので、漏電による火災など思わぬトラブルに見舞われるのもシロアリの怖さです。
シロアリの習性
シロアリを駆除しようと考える際に知っておきたいのが「シロアリの習性」です。
まず、シロアリは人の目に触れない場所で活動しています。
これはシロアリの習性として湿気が多い所や暗い場所を好んでいるというのが理由で、その為にリビングや室内といった家の中でも、明るい場所でシロアリを発見することはほぼないといって良いでしょう。
リビングや室内といった明るい場所でシロアリを見かけなくても、湿気が多い場所や暗い場所で繁殖を続けているということは少なくありませんので、シロアリの大量繁殖を防ぐ為には、定期的にシロアリがいないかどうかチェックする必要があります。
明るい場所や湿気のないところでシロアリを見つけることは稀ですが、もしそういった場所でシロアリを発見した場合は、もうシロアリが家の中で大量に繁殖している可能性が非常に高く、明るい場所で見つけた際にはすぐに駆除を考えなければいけません。
〜シロアリの習性〜
「蟻道」を作る
自分が通りやすくする為、「蟻道(ぎどう)」というものを作るのもシロアリの習性の一つです。
この「蟻道」というのは大きなスキマだけではなく本当にわずかな小さなスキマからでも作る事ができます。
シロアリの駆除をする際にはまず蟻道を見つける必要があり、蟻道さえ見つかれば巣まで辿り着きやすくなりますので大元の駆除もしやすくなります。
〜シロアリの習性〜
何でもかじる
また、シロアリが家の中に大量繁殖している際には様々な場所でかじった跡(食痕)が見つかることが多いのですが、これは色々な物をかじるというシロアリの習性によるものです。
シロアリがかじる物と言えば木材ばかりをかじるイメージがあるかもしれませんが、実際には木材だけでなくコンクリートもかじってしまいますので、たとえ家がコンクリート造であっても全く油断はできません。
このようにシロアリの習性というのはたくさんありますが、これらの習性を覚えておくことでシロアリの早期発見に繋がり、シロアリ駆除を早く行うことによって被害を最小限に食い止められます。
シロアリが家にいるサイン
シロアリが発生しているのに気づかずに放っておくと、大きな被害にあってしまいます。
シロアリは、どこからともなく現れて家を食い荒らして、またどこかへ飛び去っていくため、なかなかシロアリの兆候を見つけることができないと思っている人も多いのですが、注意深く観察することで、シロアリが家にいるサインを見つけることができます。
これらのサインを見逃さずに早めに駆除を行うことで、被害を最小限に食い止めることができるので、注意深く観察しておきましょう。
家の中や周囲を観察する
シロアリは、基本的には地面を歩いて移動することが多く、その際に木くずを足につけて歩くのでその通り道がすぐにわかります。
家の中や周囲に通り道のような木材の粉の跡があった場合には、シロアリが家にいると考えた方が良いでしょう。
また、家を食べた場合には家の粉を撒き散らす習性があるため、家の周りに木材の粉などが落ちている場合も、シロアリの被害にあっている可能性が高くなります。
柱を叩く
このように家の中や周囲を観察する他に、家の柱などを叩いて空洞音がするかどうかを確認してみることも効果的です。
柱を叩いて乾いたような音がする場合には中に空洞があり、シロアリに食べられてしまっている可能性があるので注意をしなければなりません。さらに状態がひどくなると家が傾いたり、柱がずれてしまう可能性があります。
木材の粉や通り道を見かけたら家がシロアリに襲われていると考え、その状態を専門のシロアリ駆除業者にすぐにチェックしてもらい、駆除するようにしましょう。
シロアリ駆除の方法
家の建材を腐らせてしまう厄介なシロアリの駆除方法としては基本的に薬剤、つまり殺虫剤を用いて駆除を行います。
シロアリは殺虫剤を吹き付ければ容易に死滅するので単体ではそこまで怖いわけではありません。
しかし、シロアリが厄介なのは、集団で生息する性質を持っている点です。
つまり、表から見えていないところにも数多くのシロアリが生息しているわけで、そのすべてを駆除するのには、素人ではなかなか難しいところです。
シロアリ駆除で使う薬剤
一口に殺虫剤によるシロアリ駆除といっても何種類か種類があります。
最も簡単に作業しやすいのはエアゾール剤です。
ただ、エアゾールは容量が少ないことが欠点で広範囲への駆除作業・予防処理には適しません。部分的な駆除などワンポイントでの使用なら有効でしょう。
シロアリ駆除では、液剤もよく用いられますが、原液で使用するものと水で希釈して使用するものに分かれています。
こちらは散布できる量が多いため駆除と予防処理の両方で使われますが、散布するには噴霧器を必要です。
粒剤も用いられますが、駆除ではなく予防用として使用するものです。
粒剤は液剤より臭いの問題は解消されるものの、散布作業は手間がかかるデメリットもあります。
ベイト剤と呼ばれる設置型タイプもあり、こちらは巣ごと退治出来るために駆除・予防用の両方に使用可能です。
シロアリ駆除の注意点
シロアリの駆除をする作業を行う場所は室内だけではなく、床下での作業も必要になることもあり、作業は注意を要します。
床下では釘が出ていることもあり、また石が転がっていたりします。さらにはムカデなどといった毒虫と出会うこともあります。
作業をする際の服装についても気を配っておくことが必要です。
薬剤を使用する場合においては、専門家であるシロアリ駆除業者に依頼するのがベストですが、どうしても自身で駆除する場合は、作業に適した服装やマスク等の保護具を着用しておくようにしましょう。