「寝つきが悪くていつも睡眠不足」「夜に何度も起きてしまって、寝た気になれない」「寝た気がせず、いつも体が疲れている」
眠りに関する悩みで、日中の活動に影響が出ている人は不眠症かもしれません。
その症状を放置してしまうと、心身の健康に大きく影響を与えますし、何より本人が辛いですよね。
でも睡眠のメカニズムを知ることで、改善策を見出すことができます。
ということで、今回は不眠症改善のカギとなる睡眠のメカニズムと、それに応じた不眠症の改善法について見てみることにしましょう。
目次
睡眠をコントロールするのは体内時計
人間には体内時計が存在し、約24時間の周期で体温やホルモンの分泌などを調整しています。
睡眠や覚醒をコントロールするのも体内時計です。
しかし体内時計は本当の時計の24時間ピッタリ刻んでいるわけではなく、少々のずれが生じています。
わずかなズレでも放っておくと、昼夜逆転になりかねません。
そのズレを調整するのが太陽の光です。
網膜から体内時計細胞へ直接伝達されることが、最近の研究で明らかになっています。
朝に太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、次の休息に向けて再びリズムが刻まれ始めるのです。
体内時計の調整により、日中活動中は脳の温度が高くなり、夜になると脳の温度が下がり始めます。
就寝前になると急激に温度が低下。それと同時に睡眠ホルモンである「メラトニン」も分泌されはじめ、次第に眠くなり睡眠へ入ります。
睡眠ホルモンメラトニンとは?
睡眠ホルモンである「メラトニン」とは、脳の松果体で合成される脳内物質です。
朝起きて太陽光を浴びると、その刺激は体内時計から松果体へ送られます。
その刺激により、日中はメラトニンの原料となる「セロトニン」が分泌量が増加。
そして朝に太陽光を浴びてから約15時間経過すると、セロトニンから合成されるメラトニンの分泌が活性化し、その働きにより睡眠を促します。
例)朝の7時に起床→夜の10時頃にはスムーズに入眠しやすくなる
しかし材料となるセロトニンの分泌量が少ないと、メラトニンが合成されにくくなってしまうのです。
日中であっても窓を閉めきり、暗い部屋で昼夜分からない環境に居れば、セロトニンの分泌量が下がり、それに伴ってメラトニンが作られづらくなります。
さらに、夜間であっても強い照明(コンビニの店内やスマホのブルーライトなど)を浴び続けることによってもメラトニンの分泌量は低下してしまいます。
良質な睡眠のためには、体内時計を整えてメラトニンがしっかりと分泌されることが重要です。
レム睡眠、ノンレム睡眠とは
良質な睡眠とは、朝起きたときにスッキリと目覚め、熟睡感があり、体も脳も十分に休息できた状態を指します。
人間は眠っている時、全身の筋肉は弛緩していますが、脳は活動したり休息したりを繰り返しています。
それがレム睡眠とノンレム睡眠です。
【レム睡眠】体は寝ているが、脳は活動している(眠りが浅い)
【ノンレム睡眠】体も脳も休息している(眠りが深い)
この二つの状態が交互に現れ、繰り返されています。
睡眠時の前半は眠りの深いノンレムが多く現れ、後半にかけてレムの割合が増え始め、朝に向かって覚醒しやすくなっていきます。
人間は深い眠りノンレム時に成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは成長期がストップした大人でも重要で、脳や体の快復・傷ついた細胞の修復を担っているのです。
そのためノンレムの時間が少なすぎると「寝た気がしない」「夜何度も目が覚めてしまう」といった状況になりやすくなります。
睡眠のメカニズムに沿って不眠症を改善
不眠症を改善するためには、睡眠のメカニズムを理解し、それに沿った対策をとると良いでしょう。
以下の方法を意識的に取り入れてみてください。
〜不眠症の改善法〜
決まった時間に起き、太陽の光を浴びる
寝つきが悪く睡眠時間が少なくなると、朝起きるのが辛い場合もあります。
しかし決まった時間に起き、朝に太陽の光を浴びることが体内時計を整えるコツです。
昼間にできるだけ光を浴びるようにし、メラトニンを合成するセロトニンの分泌を高めるようにしましょう。
仕事がシフト制勤務で、夜勤など昼夜逆転生活を送ってしまっている人も、できるだけ体内時計を狂わせないことが大切です。
夜でも強い照明を受ければセロトニンの分泌が可能なので、起きて仕事をしている間はできるだけ光を浴びるようにしてください。
朝方に寝る習慣がある人は、朝に太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌が大幅に減少し、寝つきが悪くなってしまいます。
網膜から光が入るのを防ぐために、サングラスを着用して太陽光などをカットしましょう。
〜不眠症の改善法〜
朝ごはんを食べましょう
体内時計を整えるのに、朝食は重要であるとされています。
起床して脳は起きているものの、内臓機能はまだ活動状態に入っていなければ体内時計にずれが生じる場合があります。
起きた後に朝食を摂ると脳と体の調和がとれ、体内時計が整いやすくなるのです。
〜不眠症の改善法〜
タンパク質と炭水化物の組み合わせがベスト
食事の内容は、米やパンなどの炭水化物に加えて、卵や牛乳、魚や肉といったタンパク質を組み合わせると良いでしょう。
炭水化物には血糖値を上昇させるインスリンを分泌させる働きがあり、インスリンは体内時計のリセットを助けます。
またタンパク質食品には、IGF-1というインスリンと似た働きをもつ物質が含まれているため、こちらも体内時計のリセットに役立ちます。
〜不眠症の改善法〜
就寝3時間前には室内の明かりを暗めにする
就寝予定時刻の3時間前には室内の明かりを暗めにし、メラトニン分泌の生成を促します。
間接照明を使っても良いでしょう。
スマホやタブレット、パソコンから発するブルーライトはエスプレッソ2杯分の覚醒作用があります。
就寝前には電源を落とし、見るのを避けましょう。
〜不眠症の改善法〜
夜寝る前にお酒やコーヒー、タバコは控える
アルコールやコーヒー、タバコは脳を活性化させてしまう作用があります。
寝る前には控えた方が賢明です。
コーヒーのカフェインやタバコのニコチンは寝つきを悪くする原因となります。
お酒のアルコールは、寝つきは良くしてくれるものの、レムとノンレムの割合を狂わせます。
深い眠りのレムは、飲酒量によって出現が異なり、たくさん飲んでしまうとレム状態が抑制され、眠りが浅い状態を引き起こしてしまうのです。
眠りの質を落とす原因となるなるため、寝酒は避けましょう。
いかがでしたでしょうか?
不眠症で悩んでいる方は、まずは自分で出来る事から初めてみましょう。
それでも症状が良くならない場合は、一人で決して悩まず、医師に相談することも大切ですよ。