ずつ・づつ、よく使う日本語の一つですが、文章を書いている時にどちらを使うのか、わからなくなったことはありませんか?
先日、文章を書いている時に「一人ずつ」なのか「一人づつ」なのか、わからなくなったことがありました。
パソコンやスマホの文字変換だと「一人ずつ」「一人づつ」の両方とも変換できるし…、なにか使い方が違うのかな?と思ったのですが・・・。
ということで、今回は「ずつ」と「づつ」の正しい使い方や使い分けがあるのか、について見ていきたいと思います。
目次
ずつ・づつ、正しい使い方とは
まずは、ずつ・づつ の正しい使い方について、いくつか調べてみることにしましょう。
ずつ・づつ、辞書で調べると
辞書の王様『広辞苑』で「ずつ」と「づつ」を調べてみると
【ずつ】
①分量を表す語について一定量の事物を割り当てる意を表す。
②一定量の事物についてその分量だけを繰り返し行う意を表す。
ちなみに「ずつ」は漢字では「宛」と書くとのこと。
例えば「一つずつ」であれば「一つ宛」、「少しずつ」であれば「少し宛」と書くようです。
一方、「づつ」については、残念ながら『広辞苑』には載っていませんでした。
どうやら日本語の正しい使い方としては「ずつ」ということになりそうですね。
ずつ・づつ、ネット検索で調べると
正しい使い方としては「ずつ」に軍配が上がるようですが、一般的には「ずつ」と「づつ」のどちらの方がよく使われているのか、気になるところですよね。
そこで「ずつ」と「づつ」の表記のあるページ数を比較すべく、ググってみることに・・・
【検索結果ページ数】
ずつ:約 251,000,000 件
づつ:約 40,700,000 件
と検索結果のページ数は「ずつ」が「づつ」を圧倒。
一般的な使われ方も、辞書の結果と同様「ずつ」を使っている人が多いという結果でした。でも、「づつ」を使っているページもそれなりのボリュームがありますね。
ずつ・づつ を歴史的に調べると
辞書(広辞苑)には「ずつ」だけが載っているのに、なぜ「づつ」が使われているのでしょう?
ネット検索するとかなり多くのページで「づつ」を使っている様子。
ひょっとしたら言葉の語源や歴史と関係あるのかも…と思い、歴史の観点から「ずつ」と「づつ」を調べてみることに。
「ずつ」と「づつ」について歴史を調べてみると、昔から使われてきたのは「づつ」だったようです。
「づつ」ではなく「ずつ」が使われるようになったのは、終戦直後の昭和21年(1946年)「現代かなづかい」が定められて以降。
この時「づつ」は歴史的仮名づかいとされ、「現代かなづかい」となった「ずつ」のみが正解とされました。
しかし、昭和61年(1986年)に「現代仮名遣い」が改訂。以下の内容の内閣訓令が出されて、「ずつ」が本則(正しい使い方)であるものの「づつ」も認められ、現在まで続いています。
「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし(中略)「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
例 ひとりずつ
このように、昭和21年から正しい表記として「ずつ」が使われるようになり、「づつ」は昭和21年〜昭和61年までは誤った表記とされたが、昭和61年以降は正しい使い方ではないが使っても良いとされています。
ずつ・づつ、現在の国の見解は?
「ずつ」と「づつ」、歴史的な使い方がわかったところで、現在の国の見解について見てみることにしましょう。
調べたところ、文部省(文化庁)が定める現代の仮名遣いのルールでは、ずつ・づつ の使い方について以下のような見解でした。
現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として、「ず」を用いて書くことを本則とし、「づ」を用いて書くこともできるものとする。
ということで、文化庁が定めるルールでは原則として「ずつ」を使用するが、「づつ」も使って良いということです。
ただし、公文書や新聞、テレビ、学校教育などでは、本則である「ずつ」に統一して使われています。もし、学校のテストで「づつ」と書けば、×になるので注意しましょうね。
「ずつ・づつ、正しい使い方と使い分け」まとめ
今回は「ずつ」と「づつ」の正しい使い方・使い分けについて見てきました。
昔は「づつ」が使われていましたが、現在は「ずつ」が正しい使い方で「づつ」も誤りではないということがわかりました。
ただし、正確性が求められる公文書やメディア、教育現場などでは「ずつ」と書くことが求められるので、「づつ」は古い仮名づかいで、現代の仮名づかいは「ずつ」であると覚えておきましょう。